バッタのトラウマ

蝗害と聞いて最初に思い出すのは、小学生の頃に祖父の家で体験したことだ。

祖父の家はとにかく田舎の田舎のさらに田舎のような場所にある。

お隣さんの家になにかを渡しに行く時には歩いて20分ほどかかる。

夜は真っ暗で、懐中電灯は必須だ。

そんな祖父の家の裏にある草むらで、わたしは虫取りをしていた。

虫取りをしていると、わたしが動くたびにバッタがパタパタと飛んだ。

虫取りは好きだが、蝶が好きなのであってどちらかといえばバッタは苦手だった。

気持ち悪いな、と思って走ると、一度に20匹ほどのバッタが飛んだ。

そのバッタの音に驚いたのか、さらに50匹ほどのバッタが飛び回ったのだ。

その瞬間、わたしの思考回路は停止して、動きも停止する。

逃げたいと思っても体が硬直してしまいどうしようもなく、バッタの動きが落ち着いた瞬間に泣きながら走って逃げた。

未だにあそこまで大量のバッタを目撃したことはないが、小さなバッタも集まると漠然とした恐怖を感じるということをはっきりと覚えている。

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